はじめに
3月に入り、全国的にノロウイルスによる急性胃腸炎の患者が急増しています。特に、飲食店での食事や仕出し弁当からの集団感染、さらには児童施設や高齢者施設などでの発生が目立っています。また、感染経路が特定できないケースも多く報告されています。本記事では、ノロウイルスの感染経路、予防策、そして発症した場合の対処法について、最新の情報をもとに詳しく解説します。
1. ノロウイルスとは?

ノロウイルスは、急性胃腸炎を引き起こすウイルスの一種で、感染力が非常に強いのが特徴です。冬季に流行しやすいですが、3月以降も感染は続くことがあります。感染者の便や嘔吐物には大量のウイルスが含まれており、これが広範囲に拡散することで感染が拡大します。
1-1. ノロウイルスの症状
ノロウイルスに感染すると、24〜48時間の潜伏期間を経て以下のような症状が現れます。
- 激しい嘔吐
- 水のような下痢
- 腹痛
- 発熱(微熱程度が多い)
- 頭痛・倦怠感
通常、症状は1〜3日程度で改善しますが、高齢者や乳幼児などの免疫力が低い人は脱水症状を引き起こし、重症化する恐れがあります。
2. ノロウイルスの感染経路

ノロウイルスの感染経路には、大きく分けて以下の3つがあります。
2-1. 経口感染(食品や飲料水からの感染)
ノロウイルスは、汚染された食品や飲料水を摂取することで感染します。特に以下の食品が注意が必要です。
- 二枚貝(牡蠣、アサリなど):ノロウイルスは貝の体内に蓄積されることがあり、十分に加熱しないと感染リスクが高まります。
- 汚染された水や氷:海外旅行先や衛生管理の不十分な場所での水分摂取も要注意です。
- ウイルスが付着した調理器具や食品:感染者が調理した食品を通じて感染することもあります。
2-2. 接触感染(手指や物を介した感染)
ノロウイルスは、感染者の嘔吐物や便に含まれるウイルスが手や物に付着し、それを触ることで感染します。
- ドアノブ、手すり、食器などの共用物
- タオルや衣類の共用
- 感染者との直接的な接触(握手や介護時)
2-3. 飛沫感染(嘔吐物や排泄物からの感染)
感染者が嘔吐した際、ウイルスが空気中に飛散し、これを吸い込むことで感染することがあります。また、乾燥したウイルスが空気中に浮遊し、知らないうちに感染するケースもあります。
3. ノロウイルスの予防策

ノロウイルスは非常に感染力が強いため、徹底した予防が必要です。
3-1. 手洗いの徹底
最も効果的な予防策は、こまめな手洗いです。特に以下のタイミングでしっかり洗いましょう。
- 食事前・調理前
- トイレ使用後
- 外出後
- おむつ交換や介護の後
手洗いは石鹸と流水で30秒以上しっかり洗うことが重要です。
3-2. 食品の加熱処理
ノロウイルスは85℃以上で90秒以上の加熱で死滅します。特に二枚貝はしっかり加熱し、生食を避けましょう。
3-3. 環境の消毒
感染者の嘔吐物や排泄物が触れた場所は**次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)**で消毒すると効果的です。
- 嘔吐物や便の処理には手袋とマスクを着用
- 使い捨てペーパーで拭き取り、消毒液で処理
4. ノロウイルスに感染した場合の対処法

4-1. 水分補給
下痢や嘔吐が続くと脱水症状を引き起こすため、こまめな水分補給が必要です。
- 経口補水液(OS-1など)
- スポーツドリンク(薄めて飲む)
- 白湯やお茶
4-2. 食事の工夫
胃腸に負担をかけないよう、消化の良い食事を摂るようにしましょう。
- おかゆ、うどん、具なし味噌汁
- りんごやバナナなどの果物
脂っこいもの、刺激物、乳製品は避けるのが無難です。
4-3. 休息をとる
症状が治まるまで無理せず、しっかり休むことが回復への近道です。
4-4. 受診の目安
以下の症状がある場合は、速やかに医療機関を受診しましょう。
- 激しい脱水症状(意識がもうろう、尿が出ない)
- 血便が出る
- 高熱が続く(39℃以上)
まとめ

ノロウイルスは強い感染力を持ち、特に春先にも集団感染が発生しやすいウイルスです。感染を防ぐためには、手洗い、食品の加熱、環境消毒を徹底し、発症した場合は適切な水分補給と休息を心がけることが重要です。感染拡大を防ぐために、一人ひとりが正しい知識を持ち、予防に努めましょう。
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