はじめに
ファイナンシャル・プランニング（FP）は、個人や企業の財務状況を分析し、最適な資産運用やリスク管理を提案する専門的なスキルを持つ職業です。その中でも「ファイナンシャル・プランニング技能検定1級」は、FPの最高峰に位置する資格であり、その取得は高度な専門知識と実務経験を要します。本記事では、FP技能検定1級について、試験の概要、受験要件、試験内容、合格率、勉強方法、そして資格取得後のキャリア展望に至るまで、詳しく解説します。
1. FP技能検定1級とは
FP技能検定1級は、個人の資産管理、税務、保険、不動産、年金、相続など多岐にわたる分野での深い知識と高度な技能を認定する国家資格です。この資格を持つことで、クライアントに対して包括的かつ専門的なファイナンシャルプランニングサービスを提供できるようになります。
2. 受験要件
FP（ファイナンシャルプランナー）1級試験合格の難易度が高いと言われる理由としては、受験資格が厳しいことも一因です。以下3点が、FP1級試験の受験資格として公表されているものです。
1.FP2級技能検定合格者で、FP（ファイナンシャルプランナー）業務に関し、1年以上の実務経験を有する者
資格の学校 TACより引用
2.FP（ファイナンシャルプランナー）業務に関し5年以上の実務経験を有する者
3.厚生労働省認定金融渉外技能審査2級の合格者で、1年以上の実務経験を有する者
これらの要件を満たすことで、FP技能検定1級の受験資格が得られます。
3. 試験の構成
FP技能検定1級は、学科試験と実技試験の二つの部分で構成されています。
学科試験
FP1級学科試験は、基礎編と応用編に分かれています。
基礎編とは、50問の4択試験です。2級の学科試験と同じく、全てマークシート方式です。
応用編とは、リスク管理を除く5分野の筆記試験です。2級のきんざい実技試験（個人資産相談業務または中小事業主相談業務）と同じ構成です。イメージとして、2級試験の学科と実技をセットにしたものが、FP1級学科試験として扱われているとお考えください。
配点は、基礎編が100点満点、応用編が100点満点、合計200点満点です。
FP技能士1級合格勉強会より引用
基礎編と応用編の合計点が、満点200点の6割(すなわち120点)以上であれば、学科試験合格となります。
基礎編と応用編を個別に合格とはなりません。基礎編と応用編のいずれか一方で6割得点しても、合計で120点未満であれば学科試験は不合格となります。その時は、再度基礎編と応用編をともに受験しなおさなくてはなりません。
実技試験
FP技能士2級と3級の実技試験は、きんざい(金財)とFP協会がそれぞれ実施していました。
FP1級実技も同じく、きんざい(金財)とFP協会が実施しています。
ただ、この2つの実技試験の出題内容は、大きく異なります。まず、きんざい(金財)で行われている実技試験ですが、口頭試問形式（面接形式）で行われます。
試験会場で課題が与えられます。受験者がファイナンシャルプランナーとなり、面接官が相談顧客となって、ロールプレイング形式で行われる試験です。
試験の内容は、不動産の有効活用と、相続・事業承継対策の2問です。FP1級学科試験の不動産、相続・事業承継の2分野の延長上にあるイメージです。1級学科を合格した人なら、解きやすいでしょう。一方、FP協会で行われる実技試験は、筆記形式です。6分野すべてから出題されます。選択肢から記号を選ぶ問題もあれば、300字程度の論述形式の問題もあります。CFP6課目で学んだことが再び出題される試験でもあるので、CFP経由でFP1級を目指す人は解きやすいでしょう。1級学科試験に合格した人も、それほど苦労する試験ではありません。
きんざいの面接試験に抵抗を感じる人も多く、そういった方はFP協会の筆記試験を受験する傾向があります。
実技試験は、きんざいの面接試験が年に2回、FP協会の筆記試験が年に1回、合計3回の受験のチャンスがあります。この3回の実技試験はすべて別日程で行われています。
FP技能士1級合格勉強会より引用
4. 試験の難易度と合格率
FP技能検定1級の合格率は、他のFP資格と比較して非常に低く、難易度が高いことで知られています。学科試験の合格率は１０%前後、実技試験の合格津９０%前後とされています。このため、しっかりとした準備が必要です。
5. 勉強方法
FP技能検定1級に合格するためには、以下のような勉強方法が効果的です。
教材の選定
まずは、信頼性の高い教材を選定しましょう。市販されている参考書や問題集、過去問集を活用することが重要です。また、日本FP協会や金融財政事情研究会が提供する公式教材も利用すると良いでしょう。
学習計画の立て方
試験日までの学習計画を立て、計画的に勉強を進めることが大切です。試験範囲が広いため、毎日の学習時間を確保し、計画に従って進めることで、効率的に学習を進めることができます。
過去問の活用
過去問を解くことで、試験の傾向や出題形式を把握することができます。過去問を繰り返し解くことで、知識の定着を図り、試験本番に備えることができます。
模擬試験の受験
模擬試験を受けることで、試験の実際の雰囲気を体験し、時間配分や問題解決のスキルを磨くことができます。模擬試験を通じて、自分の弱点を把握し、重点的に学習することで、効率的な対策が可能になります。
6. 資格取得後のキャリア展望
FP技能検定1級を取得することで、さまざまなキャリアの可能性が広がります。
独立系FP
FP技能検定1級を持つことで、独立系FPとして活躍する道が開けます。独立系FPは、個人や企業のクライアントに対して中立的な立場から資産運用やライフプランニングのアドバイスを行います。
企業内FP
金融機関や保険会社、不動産会社などにおいて、企業内FPとして働くことも可能です。企業内FPは、顧客のニーズに応じた金融商品や保険、不動産の提案を行い、顧客満足度の向上に貢献します。
コンサルタント
FP技能検定1級を取得することで、財務コンサルタントとしてのキャリアを築くことも可能です。財務コンサルタントは、企業の財務戦略やリスク管理のアドバイスを行い、企業の成長をサポートします。
7. 資格取得のメリット
FP技能検定1級を取得することには多くのメリットがあります。
信頼性の向上
FP技能検定1級を持つことで、クライアントからの信頼性が向上します。高度な専門知識と実務経験を持つ証として、クライアントからの信頼を得やすくなります。
スキルの向上
FP技能検定1級の勉強を通じて、資産運用やリスク管理に関する高度なスキルを身につけることができます。これにより、より質の高いサービスを提供することが可能になります。
キャリアの幅が広がる
FP技能検定1級を取得することで、独立系FP、企業内FP、財務コンサルタントなど、さまざまなキャリアの選択肢が広がります。自分の目指すキャリアに応じた働き方を選ぶことができます。
まとめ
ファイナンシャル・プランニング技能検定1級は、FPの最高峰に位置する資格であり、その取得には高度な知識と実務経験が求められます。しかし、その分だけ取得後のキャリア展望は広がり、クライアントからの信頼性も向上します。しっかりとした準備と計画的な学習を通じて、この難関資格を目指しましょう。
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